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小学校での英語学習について

 先週、小学校5年生の英語授業のサポートに入る機会がありました。新学習指導要領になって、学校現場がどのように変わったのか興味深々でした。それまでの、研究会などで参観する授業は、計画も練られ、かなり仕込まれた状態での授業になることが多く、日常の授業を見る機会は全くありませんでした。

 

 そのクラスでは、英語専科の先生(中学校をご退職された先生)と、ネイティブの2人で授業をしていました。メインは日本人の先生です。ネイティブの先生は、発音練習の場面などでは、主となり、児童が発言する場面では、机間巡視をして発言者にドル紙幣(ご褒美)を渡します。

 

 内容は『何を勉強したいか』と『将来何になりたいか』です。

 

What do you want to study ? - I want to study ---- . 

What do you want to be in the future ? - I want to be a ----.

 

文法的な説明はせず、パターンプラクティスといって、そのフレーズを繰り返し使うことによって、習得を図ります。子どもたちは、「とりあえず、それを言っていれば良い」「自分のしたい仕事は、英語で何て言うのかな?」といったこと考えている様子で、友達の発表を聞いたり、発言をしたりしていました。なるほど、最初は戸惑っていた児童も、徐々に理解し、使えるようになってきます。「もう、十分だから」と誰かが言いそうなくらい、何度も何度も繰り返します。授業の最後には、達成感というより、何か別の空気感があったように感じます。もしかしたら、もう少し学びを深める場面があると良いのかも知れません。

 

この表現は、昨年度までの教科書では、中2で学習した内容です。文法項目は「不定詞の名詞的用法」です。またbe 動詞が「~になる」という意味で使われることも注意が必要な所です。

 

小学校での学習は、まだ外国語学習のように感じました。外国語学習のねらいは「英語の表現に慣れ親しむ」ことですので、そういったねらいでしたら、十分到達しています。いやもしかしたら、小学校の授業としてはこれで十分だと言われるのかも知れませんが、私には、「定着」や「理解」といった部分が不十分に感じました。なぜなら、次に待ち構えている教科書は、難易度がグンと上がるからです。

 

 現在、新しい教科書で学習する中学1年生は、本当に苦労しています。小学校から中学校への連携を取るためには、重なり合うように学習すること、そして中学1年の英語を指導する先生が、小学校での学びの不足を想定しながら、きめ細やかに授業を進めることが大切です。1学期も、ここ数週間の中でも、中1の生徒や保護者の方から、不安の声を聞きます。「授業の進み方が速くてわからない。」「ずっと英語を話していて何を言っているかわからないのに、それを先生が分かってくれない。」「小学校でそんな言葉を勉強していないのに、もうやったことになっている。」「進み方が遅すぎて、今後が不安。この後、難しくなるのに、速くなったら困る。」「テスト前だけ授業が速くなる。」「テスト前に詰め込まれる。」成績に関する不安の声もありますが、いつになく授業に関する不安や要望を多く耳にします。

 

 新たな教科書が4月に配布され、先生方は十分な教材研究をする時間を与えられないまま、今年が始まりました。生徒さんや保護者の方のお話を聞けば聞くほど、学校現場では混乱している様子が伺えます。

 

中1の英語指導が、今後の大きな課題になってくるように感じます。まずは生徒の実態に即した授業です。そして家庭学習の定着を図りながら、計画的に進めていくことが求められています。もうしばらく、先生方のチャレンジが続きます。その一方で、お子さまの学びは、待ったなしです。小学校から、家庭学習の習慣化を進め、使える語彙や表現を増やしておきましょう。ゆるやかに文法を学習することもお勧めします。