· 

補充学習が必要とされる学校の授業

 教員という立場でありながら、こんなことを申し上げることに抵抗がありますが、1学期の間、中学生の授業に関する悩みを聞きながら、これはお伝えしなければいけません。必ずしも学校での英語の学習が順調に行われるわけではありません。先生方の努力や、お子さまたちの努力では到底乗り越えられない困難さが、今の英語教育にあります

 

 4月から新学習指導要領が、中学校でも完全実施され(小学校では昨年度より)、新たな教科書での学習が始まりました。それ以前から危機感は持っていましたが、1学期が終了して、実際の状況は予想よりも危機的な状況です。

 

〇教科書の内容がハイレベルになっている

新教科書の注意すべき点 先生方の授業での対応・様子(甲府市内5校)
①未習語句が既習語句として扱われる

・授業で未習であるという確認がされない

・発音・意味も確認されない

・定期試験に出題される

②未習の文法項目が既習項目として扱われる

・プリント等を配布して補充学習(多数)

・新年度に補充

③各単元での学習すべき文法項目が増加

・ワークシートで問題演習

・定期試験前に再度確認

・教科書本文の説明を短縮し、文法の時間に当てる

・教科書の「読んで考えよう」の一部を省略し、文法の時間に当てる

④単語レベルがハイレベルに

 (1ページの単語数も多い、語彙レベルも従来の1~2学年上のものも多く見られる)

・自主学習に任せている

・長期休みに課題として出題

⑤先生方が慣れていない

 全員にとって初めて扱う教科書であり、事前準備が必要。甲府市は会社も変わっているため、要注意。

・生徒の理解を優先していくと、順調に授業が進まない

・教育計画通りに進めていくと、生徒の理解がついていかない

・教科書を部分的にとばしながら進める

 

 E+英語教室では、学校の授業の進み具合を生徒さんにたずねながら、学校の学習に遅れがないか、分からないまま進んでいることがないか、随時確認をしています。そういった中で、生徒さんたちの悲鳴にも近いような悩みを耳にします。それをもとに、まとめたのが上のような内容です。生徒さんが、英語の授業に不安を抱えていることも、よく分かります。「授業スピードが、テスト前に急に早くなったから、勉強が追いつかない」と話す生徒さんも複数いました。

 

 学校の先生方も、それぞれ内容に工夫を加えたり、補助プリントを作成したりと、様々な方法をとっていますが、何しろ教科書の変化が大きいため、どこに手を伸ばせば十分なのか、把握しきれないのではないでしょうか。生徒さんの中には、「こんなの去年やってない」「小学校で全く教えてもらってない」と気づく生徒さんもおります。一方で、気づかない生徒さんもいると思います。それが、私には恐ろしくてたまりません。移行期間もありながら、文科省が補助教材も配布しても、コロナ禍で授業が十分保障されぬまま、昨年度が終わり、今年度の学習が始まっています。先生方も生徒さんも、わからないまま、知らないまま、教科書が進んでいるような気さえしてきます。

 

 英語の学習は、親の世代とも、お兄さんお姉さんの世代とも、大きく異なっています。現在中学1~3年生のお子さんを持つ保護者の方々、ぜひお子さまと学校の授業の様子やテストの取り組みについて話す機会をつくってください。多くのお子さまが、サポートを必要としているのではないかと思います。